「うちの印刷会社、このままで生き残れるのだろうか」。
価格競争、印刷物需要の減少、自社ホームページの不活用…そんな不安を抱える経営者・担当者にこそ必要なのが「デザイン経営」の視点です。
本記事では、印刷会社の強みを起点にしたデザイン経営の考え方と、印刷×デザイン×Web活用支援による具体的な経営改善ステップを、印刷会社経営改善ラボの事例とともに解説します。印刷物依存から抜け出し、集客増加・営業改善を実現するために、まず何から見直せばよいのか。自社でも「これならできそう」と思える変革シナリオを、ここから一緒に描いていきましょう。

1. デザイン経営で印刷会社はどう生まれ変わるのか？印刷会社経営改善ラボからの提案

デザイン経営は「見た目を整えること」ではなく、印刷会社の経営そのものをデザインの力で再設計する考え方です。価格競争に追われ、印刷物単体の受託に依存している状態から、「顧客の課題解決」を起点としたビジネスへとシフトすることで、利益率・受注単価・リピート率を同時に高めることができます。
本記事では、「印刷×デザイン×Web活用」で中小印刷会社が現実的に取り組めるステップを、印刷会社経営改善ラボの視点から整理していきます。

1-1. デザイン経営とは何か

デザイン経営とは、経済産業省・特許庁が提唱する「デザインを経営の中核に据え、ブランド構築とイノベーションを同時に実現する経営手法」です。ロゴやパンフレット制作といった狭義の「デザイン」ではなく、「誰に・どんな価値を・どの体験を通じて届けるか」というビジネスモデル全体を設計する広義のデザインとしてとらえます。印刷会社に置き換えると「チラシやパンフの制作会社」から、「顧客の集客・採用・ブランディングを支援するパートナー」へとポジションを変える取り組みです。
当社（株式会社JOTO）がインナーブランディングやソリューション開発を通じて「デザイン責任者が経営に参画する体制」を築いたように、デザイナーを単なる制作担当ではなく「経営課題を一緒に考える人材」として活かすことが重要になります。

1-2. 印刷会社が直面している経営課題

多くの印刷会社は、受注単価の低下・印刷物需要の減少・営業の属人化といった課題を同時に抱えています。特に、広告代理店や元請け企業からの下請け比率が高い会社ほど、「言われたものを作る」ビジネスモデルから抜け出せず、価格で選ばれやすくなります。
また、自社ホームページが「会社案内パンフレットの写し」にとどまり、問い合わせや新規商談の獲得につながっていないケースも多いのが実情です。こうした状況では、売上維持のために残業や値引きで対応するしかなくなり、利益率は下がり、人材は疲弊し、優秀なデザイナーや営業から辞めていくという悪循環に陥りがちです。

1-3. デザイン経営が印刷会社にもたらす変化

デザイン経営を取り入れると、印刷会社は「制作物の枚数」ではなく「顧客にもたらす成果」で評価されるビジネスに変わります。当社では、インナーブランディングとソリューション開発を通じて、生産時間単価の向上、コンペ獲得率の改善、残業時間の削減を同時に実現しました。これは
・自社の強みを言語化し、
・その強みを生かせるマーケットを選び、
・顧客の経営課題から逆算して提案する
というデザイン経営の考え方を、組織ぐるみで実践した結果です。印刷会社経営改善ラボでも、同様に「インナー（社内）」「アウター（顧客）」「業務プロセス」の3層を同時に整えることを支援し、印刷物依存から「ソリューション提供型」への転換をサポートしています。

1-4. 印刷会社経営改善ラボの役割

印刷会社経営改善ラボは、「印刷会社の経営改善」「印刷会社向けマーケティング」「印刷×デザイン×Web活用支援」に特化した外部パートナーです。単なるWeb制作会社やコンサルタントではなく、「印刷業の現場・利益構造・営業フロー」を理解したうえで、経営とマーケティングを一体でデザインすることを役割としています。
具体的には、自社ホームページの見直し、サービスメニューの再設計、提案ツールの整備、社内のデザインリソース活用などを一貫して支援します。

支援領域	内容
経営・戦略	事業ポジション設計／差別化戦略／価格戦略
マーケティング	Web集客設計／コンテンツ企画／SEO
営業・提案力	提案資料テンプレート／事例化・メニュー化
デザイン活用	デザイナーの役割再定義／社内外ブランディング

こうした支援を通じて、「自社だけでは何から手を付ければいいかわからない」という印刷会社の経営者・担当者の方の不安を、具体的なアクションプランに変えていきます。

1-5. 自社ホームページ活用の出発点

自社ホームページが「会社案内」のままで止まっている印刷会社は少なくありません。デザイン経営の視点で見ると、ホームページは「自社の価値とストーリーを伝え、見込み客との最初の接点をつくる営業装置」です。まず取り組むべき出発点は、「誰に向けた、どんな相談窓口にするのか」を明確に定義することです。

• ターゲット：中小企業の経営者／販促担当者／採用担当者など
• 提供価値：印刷物制作だけでなく、集客や採用課題の解決
• 問い合わせ導線：相談フォーム・事例ダウンロード・セミナー告知など

この3点を整理したうえで、「サービス内容」「事例」「料金の考え方」「相談の流れ」といったコンテンツをデザインしていくと、ホームページが「営業が使えるツール」に変わっていきます。

1-6. 印刷物依存からの脱却のヒント

印刷物依存から脱却するとは、「印刷をやめる」ことではなく、「印刷を含むソリューション全体を売る」ことです。商品開発・ネーミング・パッケージ・ストーリー設計を一体で提案できれば、単価も高く、継続的な取引にもつながります。印刷会社として取り組みやすい第一歩は、「印刷＋α」のメニューを決め打ちで作ることです。

従来	デザイン経営型
チラシ制作	集客キャンペーン設計＋チラシ＋LP制作
会社案内パンフ	採用ブランディング＋会社案内＋採用サイト
DM印刷	顧客リスト整理＋DMクリエイティブ＋反響分析

このような「セット提案」を用意することで、営業が売りやすくなり、顧客からも「相談先」として認識されやすくなります。

1-7. 相談から改善までの全体イメージ

印刷会社経営改善ラボへの相談から、実際に経営改善が進むまでの流れをイメージしていただくために、全体像を整理します。最初のステップは、現状の課題整理です。売上構成・取引先構造・利益率・自社サイトの状態・営業フローなどをヒアリングし、「どこから手を付ければ最もインパクトがあるか」を一緒に明らかにします。

1. 現状診断：経営指標／顧客分析／Web・営業ツールの棚卸し
2. 方向性設計：狙う市場・強み・サービス構成・ポジショニング
3. 実行支援：ホームページ改修／提案ツール整備／営業伴走
4. 改善サイクル：アクセス解析／受注状況／提案事例の蓄積

このプロセスを通じて、「単発のWebリニューアル」ではなく、「経営とつながったマーケティング改善」として定着させていくことが重要です。

2. なぜ今、印刷会社にデザイン経営が必要とされるのか

印刷需要の減少やデジタルシフトにより、印刷会社を取り巻く経営環境は大きく変化しています。単に「印刷機を最新に入れ替える」「営業を増やす」といった部分最適では乗り切れず、「何を強みとし、どの市場で、どんな価値を提供する会社になるのか」という経営デザインそのものが問われています。デザイン経営は、この「会社の存在意義と稼ぐ仕組み」を再設計するフレームとして、今の印刷会社にこそ必要とされています。

2-1. 価格競争が続く業界構造

印刷業界は、設備投資負担が大きく、参入障壁も相対的に低いため、どうしても価格競争に陥りやすい構造を持っています。さらに、通販印刷や大手資本の台頭により、標準的な印刷物は「ネットで最安を探す」流れが加速しています。この状況で同じ土俵に立ち続けると、人件費・材料費・エネルギーコストの上昇を価格転嫁できず、利益が圧迫され続けます。

項目	典型的な課題
受注経路	特定代理店・大口顧客への依存
単価	見積もり勝負での値下げ常態化
原価	用紙・インキ・エネルギーコスト上昇
人材	熟練スタッフの高齢化・若手採用難

こうした構造的な課題に対し、「印刷単体を安く早く出す」だけでは打ち手が尽きます。デザイン経営で「選ばれる理由」を設計し、価格以外の価値で比較されるポジションをつくることが、長期的な生存戦略になります。

2-2. 顧客のニーズの変化

一方で、顧客側のニーズも大きく変わっています。単に「チラシを刷りたい」「パンフレットを作りたい」という要望だけでなく、「集客を増やしたい」「採用がうまくいかない」「ブランドイメージを統一したい」といった経営課題レベルの相談が増えています。このとき、印刷会社が「仕様と枚数の見積もり」だけで応じていては、他社と差別化できません。

• ターゲットは誰か
• どんなストーリーで訴求するか
• WebやSNSとどう連携させるか
• 成果をどう測定し、次につなげるか

といった観点で提案できる印刷会社は、価格以上の価値を感じてもらえます。顧客のニーズ変化に合わせて、印刷会社自身の役割認識とサービス設計をアップデートすることが、デザイン経営の出発点になります。

2-3. 生き残る印刷会社に共通する視点

厳しい環境の中でも、成長・収益改善を実現している印刷会社には共通点があります。印刷会社経営改善ラボが支援する企業にも、「デザイン経営的な視点」を自然と取り入れているケースが多く見られます。

• 「印刷」ではなく「顧客の成果」を提供価値として定義している
• 自社の強みを言語化し、狙う市場を意図的に選んでいる
• デザイナーやクリエイターを経営・営業のパートナーとして位置づけている
• 自社ホームページを「営業ツール」として設計・運用している

これらは特別な才能ではなく、考え方とプロセスの問題です。デザイン経営を軸に「何を強みとし、どこで戦うか」を再定義することで、中小の印刷会社でも十分に再成長のチャンスを掴むことができます。

3. 印刷会社の強みを生かすデザイン経営の実践ステップ

デザイン経営は、理念やスローガンだけでは機能しません。印刷会社の現場に落とし込むには、「自社の棚卸し→顧客体験の設計→社内体制と業務プロセスの見直し」というステップで進めることが有効です。ここでは、特別な専門部署がなくても、中小規模の印刷会社が取り組める現実的なやり方を整理します。

3-1. 自社の価値の棚卸し

最初に取り組むべきは、「自社の強みの棚卸し」です。デザイナー中心としたプロジェクトで、自社の強みを洗い出し、4つのソリューションにまとめ上げたように、印刷会社にも必ず「他社にはない価値」があります。

• どんな業種・領域の案件が得意か（教育、医療、観光、製造など）
• どんな案件で顧客に喜ばれたか（集客アップ、採用成功、リブランディングなど）
• 社内にいる人材の強み（企画提案が得意なデザイナー、文章が書ける営業など）
• 地域との関係性（地元行政・学校・商工会とのつながりなど）

これらをプロジェクト形式で可視化し、「事業コンセプト」と「サービスメニュー」に落とし込むことで、営業トーク・ホームページ・提案書の軸が揃っていきます。

3-2. 顧客体験の設計

自社の強みが見えてきたら、「顧客があなたの印刷会社と出会ってから、成果を実感するまでの流れ＝顧客体験」をデザインします。この設計が曖昧なままだと、せっかくのデザイン力や印刷技術も、部分最適の提案にとどまりがちです。

フェーズ	顧客体験のポイント
認知	ホームページ・紹介・セミナーなどで「相談したくなる印象」をつくる
初回相談	印刷物の仕様ではなく、経営・マーケティングの課題をヒアリング
提案	印刷＋デザイン＋Webなどを組み合わせた「施策パッケージ」で提示
実行	スケジュール・役割分担・成果指標を共有しながら進行
振り返り	反応・数字を確認し、次の施策につなげる定期ミーティング

この流れを決めておくことで、営業ごとのバラつきが減り、「どの顧客にも一定以上の価値を提供できる」体制が作りやすくなります。

3-3. 社内体制と業務プロセスの見直し

デザイン経営を実践するには、社内で「誰がどの役割を担うのか」「どのプロセスで案件を進めるのか」を再整理する必要があります。その代表的な手法として、マーケティング・営業とクリエイティブ制作のメンバーを、ソリューションごとに横断チーム化する方法があります。

• 案件の入り口からデザイナーが同席し、課題理解とアイデア出しに参加する
• 営業が「仕様の聞き取り」ではなく「課題ヒアリング」のチェックリストを使う
• 提案前に、営業・デザイナー・制作で簡単なレビューを実施する
• 受注後は、タスクとスケジュールを共有し、残業の発生要因を見える化する

こうしたプロセス改善は、残業時間の削減や生産性向上にも直結します。印刷会社経営改善ラボでは、現状のフローをヒアリングしたうえで、「無理なく回せる最小限の新しいプロセス」を一緒に設計していきます。

4. デザイン力とWeb活用で実現する集客と営業改善

印刷会社の現場には、本来大きな武器となる「デザイン力」が眠っています。しかし、自社ホームページや営業ツールにその力が十分に発揮されていないケースが少なくありません。デザイン経営の観点から、ホームページ・Web施策・営業ツールを一体で見直すことで、「集客」と「営業効率」の両方を改善することが可能です。

4-1. ホームページの役割の再設計

ホームページを「会社概要と設備一覧を載せる場所」から、「ターゲットにとっての相談窓口・学びの場」に再設計することが、デザイン経営の実践に直結します。印刷会社経営改善ラボでは、ホームページの役割を次のように定義することを推奨しています。

役割	具体的な機能
価値提案	トップページで「誰のどんな課題を解決する印刷会社か」を明示
信頼獲得	事例・お客様の声・プロセス紹介で「任せても大丈夫」と感じてもらう
リード獲得	相談フォーム／資料ダウンロード／メルマガ登録などの導線
営業支援	営業が商談時に画面を見せながら説明できる構成・コンテンツ

これらを踏まえ、デザイン力を活かしたビジュアルと、SEOを意識したテキストを両立させることで、「見栄えだけではない、結果につながるサイト」にしていきます。

4-2. 印刷とデザインとWebの連携施策

印刷会社の大きな強みは、「紙のコミュニケーション」と「Webのコミュニケーション」を両方理解し、連携提案できることです。単発のチラシやLP（ランディングページ）ではなく、顧客の集客プロセス全体を設計することで、単価・継続率・紹介率が高まります。

• チラシやDMにQRコードを付け、特設LPや申込みフォームへ誘導する
• 展示会用パンフレットと、フォロー用メール・LPをセットで設計する
• 採用パンフ＋採用サイト＋エントリーフォームを一体で構築する
• 地域イベントのポスター・チラシと、SNS・Web告知を統一デザインで展開する

こうした「印刷×デザイン×Web」のセット提案を、自社の定番メニューとして整えておくことで、営業は「セットを提案するだけ」で価値ある提案がしやすくなります。

4-3. 営業現場で使える提案ツールづくり

いくら良いサービスを持っていても、営業現場でうまく伝わらなければ、受注にはつながりません。そこで重要になるのが、「誰が使っても一定レベルの提案ができるツール」を整えることです。印刷会社経営改善ラボでは、印刷会社向けに次のようなツール整備を支援しています。

• 導入事例シート（課題→施策→成果を1枚で説明できる）
• サービスメニュー表（セット提案・価格帯・成果イメージを整理）
• 提案書テンプレート（ヒアリング内容を埋めるだけで骨子が完成）
• 営業トークスクリプト（初回訪問時の質問例・説明の順番）

これらをデザインの力で「見やすく・分かりやすく」まとめることで、営業未経験の担当者でも、自信を持って顧客と向き合えるようになります。

5. 印刷会社経営改善ラボが提案する印刷会社の変革シナリオ

印刷会社の変革は、一足飛びに「コンサル会社になる」ことではありません。印刷という強みを活かしながら、デザインとWebを組み合わせ、「顧客の成果」にフォーカスしたビジネスへと段階的にシフトすることが現実的なシナリオです。
印刷会社経営改善ラボでは、まずは「自社ホームページの見直し」と「営業ツールの整備」という、取り組みやすく効果の見えやすい領域からご一緒することをおすすめしています。そのうえで、当社のようなデザイン経営の事例も参考にしながら、インナーブランディング・サービスメニュー開発・組織づくりへとステップアップしていくことが可能です。
「自社にもできるのか」「何から始めるべきか」を整理したい印刷会社の経営者・ご担当者の方は、まずは印刷会社経営改善ラボ（株式会社JOTO）までお気軽にご相談ください。現状のヒアリングと簡易診断をもとに、御社の状況に合わせた具体的な改善の方向性と、初期ステップをご提案いたします。

まとめ

印刷会社を取り巻く環境は厳しさを増していますが、「デザイン経営」を軸に据えることで、価格競争から抜け出し、自社ならではの価値提案が可能になります。これまで扱ってきた印刷物の知見や現場で培った提案力は、顧客体験を設計し直すことで「印刷×デザイン×Web活用支援」へと発展させることができます。自社ホームページを単なる会社案内で終わらせず、集客と営業改善を生み出すプラットフォームへ変えることが、これからの印刷会社の経営改善の起点です。
印刷会社経営改善ラボは、価値の棚卸しからWeb戦略設計、営業で使える提案ツールづくりまで並走しながら支援します。自社も変われると感じた方は、株式会社JOTOまでお気軽にご相談ください。