新規開拓が止まった印刷会社がまずやるべき“3つの見直しポイント”
新規開拓が止まり営業不振に悩む、既存客頼りになってしまった印刷会社のための実務的ガイドです。
営業・商品・顧客の3観点から早期診断と優先順位づけ、即効の短期施策をご提案します。
元印刷会社の実務経験を持つJOTO(https://print.jotoinsatsu.co.jp)が寄り添い、売上アップ・利益アップにつながる現場で実行できる優先対策と効果測定までを一貫してサポートします。
現場で役立つ具体的な見直しポイントと、すぐに効果が期待できる即効策をご紹介します。
CONTENTS
1. 営業・商品・顧客の3観点から原因を分析 現場で実行できる優先対策

現状把握、優先順位付け、即効の短期施策という3つの見直しポイントを軸に、印刷会社が新規開拓を再開するための実務的なアクションを整理します。市場縮小や新規事業模索といった背景を踏まえ、営業・商品・顧客の3つの観点から原因を明確化し、優先的に取り組むべき手順を提示します。
1-1. 現状の早期診断
まずは印刷会社の現状を数値と現場観察で短期診断します。売上だけでなく粗利、受注構成、既存顧客の稼働率、見積り段階での落ち込みポイントを把握することが最重要です。
| 診断項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| 財務指標 | 粗利額・粗利率・販管費の内訳を直近6か月で比較すること。 |
| 営業活動 | 新規開拓件数、商談化率、受注率、平均受注額を測ること。 |
| 商品構成 | 主力商品の利益率、外注比率、標準作業時間を確認すること。 |
1-2. 優先順位付け
現状診断で明らかになったボトルネックに対して、優先的に投入すべき経営資源の順序を決めます。短期で粗利に効く施策、中期で新規事業に繋がる投資、長期の体質改善の3項目に分けて意思決定するフレームを作ります。
- 短期:赤字案件の切り捨てと原価見直しで粗利確保。
- 中期:既存顧客との用途開発や業種特化サービスで差別化。
- 長期:ITや自動化投資で生産性を高める投資計画。
1-3. 即効性のある短期施策
即効性のある施策は粗利改善に直結するものを優先します。具体的には値引き運用の厳格化、外注管理の集中化、不要支出の即時停止などを現場ルールとして明確化し徹底させます。
| 施策カテゴリ | 具体策 |
|---|---|
| 価格運用 | 見積りテンプレートで最低ラインを設定し値引き時の承認フローを必須化すること。 |
| 外注管理 | 集中購買と指定業者化で発注金額の平準化とコスト低減を実現すること。 |
| 間接費削減 | 社内の象徴的支出(贈答、車両、端末)を見直しメッセージ性で意識変革を促すこと。 |
1-4. 社内体制の整備
即効策を実行するための社内体制を整えます。トップが粗利重視の方針を明示し、伝票・見積りの承認基準を数値化して現場に落とし込むことが必要です。
- 日次・週次で粗利モニタリングを実施する運用を作る。
- 営業・制作・生産で責任者を明確にしたKPIを設定する。
- 報酬や賞与を粗利連動型に変更しインセンティブを揃える。
1-5. 効果の測定方法
施策を実施したら効果を定量的に測定します。
KPI(重要業績評価指標)は受注率、粗利額、受注単価、外注比率、営業の商談化率などを設定し、短期(週次)、中期(月次)、長期(四半期)で評価し、改善サイクルを回します。
| 評価期間 | 主要指標 | 判定基準 |
|---|---|---|
| 短期(1〜4週) | 見積提出数・商談化率 | 前月比で改善が見られるか |
| 中期(1〜3か月) | 受注率・粗利率 | 粗利率が改善し利益ベースで増加しているか |
| 長期(4か月〜) | 顧客継続率・新規開拓件数 | 新規開拓が定着し継続受注に繋がるか |
2. 営業の実務改善で新規開拓を再開する

営業は新規開拓の前線です。印刷会社が市場で勝つためにはターゲットの再定義、効率的なアプローチ設計、提案力の強化という実務の見直しが必要です。
2-1. ターゲットの絞り直し
従来の広く浅いアプローチをやめ、印刷会社として勝てる業種や用途にターゲットを絞り直します。業種特化や用途特化は、競合が少なく新規開拓効率を高めるための基本戦略です。
- 既存顧客の上位20%の業種を抽出して共通ニーズを分析する。
- 業種ごとの収益性と参入障壁を評価して優先ターゲットを決める。
- 業種特化の提案テンプレートを用意して営業の再現性を高める。
2-2. アプローチ設計
ターゲットが定まったら、接点設計を丁寧に作り込みます。オンライン施策と訪問を組み合わせ、用途開発提案やセミナー、サンプル配布で関心を引き、商談へと繋げる導線を整備します。
| 接点 | 施策例 |
|---|---|
| 認知 | 業種別ホワイトペーパーや導入事例をメールやSNSで配信する。 |
| 関心 | 用途別サンプルやミニセミナーで具体的な使い方を提示する。 |
| 商談化 | 初回の用途改善提案を無料で行い、顧客と共同でプロトを作る。 |
2-3. 提案力の強化
印刷会社の提案は単なる見積りではなく、顧客のプロモーション結果に結びつく企画でなければなりません。新規開拓では用途提案、ROI試算(投資対効果を数値で示す分析)、納期やコストのメリットを数値で示すことが受注率向上の鍵です。
- 提案書テンプレートをROIや効果試算込みで整備する。
- 営業にプレゼン訓練を行いクロージング率を高める。
- 既存顧客事例を短い動画・資料で用意して説得力を強化する。
3. 商品設計を見直して受注率を上げる

商品は受注を生む武器です。印刷会社は主力商品を絞り込み、価格設計と付加価値の組合せで市場で勝てる商品設計を行うことが重要です。
3-1. 主力商品の選定
全てを売ろうとするのではなく、利益率・引き合い頻度・差別化可能性を基準に主力商品を3〜5種に絞ります。選定した商品には標準工程と単価表を設定し、社内で量産可能な体制を作ることが重要です。
| 評価軸 | 内容 |
|---|---|
| 利益率 | 粗利ベースでの貢献度を測定する。 |
| 継続性 | リピート率と受注頻度を確認する。 |
| 差別化 | 用途開発や短納期、特殊加工で競合と差が付けられるか。 |
3-2. 価格設計
価格は売上だけでなく粗利を左右します。印刷会社は価格レンジを明示し、値引きルールやセット販売で単価と粗利をコントロールする運用を作ることが重要です。
- 見積テンプレートで最低利益率を担保するルールを明確化する。
- 量販商品の段階価格とオプション設計で客単価を上げる。
- 値引き承認フローを導入して無自覚な値下げを防ぐ。
3-3. 付加価値で差をつける
印刷そのもの以外の価値、例えば企画提案・デジタル連携・物流代行・用途開発などを商品に組み込みます。印刷会社が持つ現場ノウハウを元に、顧客のプロモーション効果を上げるパッケージを作ることが新規事業化への第一歩になります。
| 付加価値例 | 導入効果 |
|---|---|
| 企画提案 | 顧客のROIを改善し長期的な発注につながる。 |
| 物流・発送 | 下流を押さえることで単価の幅を広げられる。 |
| デジタル連携 | DMの効果測定やQR・LP連携で差別化できる。 |
4. 顧客対応を強化し関係性を深める

新規開拓だけでなく既存顧客の掘り起こしやリード育成は短期で収益を作る重要施策です。印刷会社は顧客との接点を設計し、満足度を可視化して継続受注につなげる仕組みを作る必要があります。
4-1. 既存顧客の掘り起こし
既存顧客は最大の資産です。受注履歴を分析して休眠顧客やアップセル可能な顧客を抽出し、用途提案や定期提供プランを持ってアプローチします。
- 過去1〜2年で発注が途切れた顧客リストを作成する。
- 用途開発の共同提案で初回試作を無償または低価格で行う。
- 定期発注の割引プランや会員制度で継続率を高める。
4-2. リード育成
新規リードをそのまま放置せず、段階的に育成する施策が必要です。メール・電話・セミナー・サンプル提供を組み合わせ、関心を高めて商談化するナーチャリング設計(見込み顧客を育て購買につなげる接点設計)を行います。
| ステージ | 施策例 |
|---|---|
| 認知 | 業種別事例や導入効果を配信するメールマーケティング。 |
| 教育 | 用途別のミニセミナーや事例集の提供で関心を深める。 |
| 商談 | 共同での試作提案とROI試算で受注可能性を高める。 |
4-3. 顧客満足の可視化
顧客満足を定量化して改善に繋げます。納品後のアンケートやNPS(顧客の推奨意向を数値化する指標)、リピート率を定期的に集計して社内KPIに落とし込み、品質や対応の改善サイクルを回します。
- 納品後1週間で簡易アンケートを実施しフィードバックを取得する。
- NPSやCSスコアを四半期でレビューして改善施策を打つ。
- 改善結果は社内で共有して再発防止とナレッジ化を進める。
5. 短期で動かすための要点

短期的に動くための要点は、まず現状を数値で把握し、粗利改善に直結する短期施策を優先することです。営業はターゲットを絞りアプローチを設計し、商品は主力化と付加価値化で収益性を高め、顧客対応は既存掘り起こしとリード育成で受注を増やすことを同時並行で回してください。
最後に、経営者は「悩む」よりも「考えて試す」姿勢で限られたヒト・モノ・カネをどう振り分けるかを決め、短周期でPDCA(Plan:計画、Do:実行、Check:評価、Act:改善)を回しながら新規開拓と新規事業の芽を育てることが重要です。
まとめ
印刷会社の新規開拓再起動は、営業改善・商品見直し・リード管理の統合が鍵となります。まずはターゲット絞り直しとアプローチ設計で効率化を図り、主力商品の価値を明確化して受注率を引き上げます。
次に既存顧客掘り起こしと短期施策による効果測定を組み合わせ、社内体制の運用ルールを整えて運転資金と時間の優先配分を行います。具体的には、短期で商談化できるターゲットリストを作成し、標準見積テンプレートを導入し、付加価値メニューを試験的に提供することが即効性のある施策です。KPIはリード数、商談化率、受注単価を定め、週次で見える化することで成果につながります。
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